
「コンサル一年目が学ぶこと」というタイトルですがコンサルティングに関係なく、社会人1年目やこれから社会に出る人、さらにはすでに社会に出ている全ての人に役立つ一冊です。
業務の効率化や仕事の考え方など参考にするべき内容が盛り沢山です。
こんな人にオススメ
- 社会人1年目の若者
- 社会に出る前の大学生・高校生
- 全ての社会人
オススメ度 | ★★★★☆ |
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ページ数 | 224ページ |
読書時間 | 2時間~3時間 |
コンサル一年目が学ぶこと
「コンサル一年目が学ぶこと」を読むことで社会人に重要なスキルを一通り学ぶことができます。
根本を読んだ最初の感想はもっと"早くから読んでおけばよかった"ということです。
可能なら社会人になる前に読めば社会人になってからの苦労が軽減されると思います。
大手企業で働くと社内研修などでこの本に書かれているような内容を学ぶことができるかもしれませんが、私のような中小企業勤めではかなり勉強になる一冊です。
社会人として長く働いている人から新入社員まで誰が読んでもためになる一冊です。
PREPの型に従う
結論から話す方法論としては、PREP法というものがあります。まずはこの原理を理解しましょう
Point=結論
Reason=理由づけ
Example=具体例
Point=結論の繰り返しで締める
先輩や上司などからも「先に結論から話して」と言われる機会も少なくないと思います。
自分では結論から話しているつもりでも、相手側にとっては結論と一緒に理由もセットで話しているように聞こえる場合もあるかもしれません。
PREPの型を学ぶことで「結論から話す」の本質が理解できるようになります。
Talk Straight 端的に話す
Talk Straight
=駆け引き抜きに、率直に、簡潔に、端的に話す
端的に話すことは相手側に必要な情報だけを伝えることです。余計な情報を伝えて相手の時間を奪うことなく、必要な情報だけを伝えることでコミュニケーションを円滑にすることが求められています。
仕事では駆け引きを求められる場合ももちろんあると思います。ですが基本的には駆け引き抜きで率直に話したほうが信用されます。
相手の立場になって端的に話すことを意識することが大切です。
数字というファクトで語る
仮に、共通言語があるとしたら、それは英語ではなく数字です。
売上げや仕入れ、利益などの数字は誰が見ても同じ内容です。言葉はニュアンスや感覚で人によっては違う捉え方をする場合もあります。
誰が見ても納得しなければいけない数字というファクト(事実)で語ることを意識することが大切です。
感覚的に把握している問題を、実際に「数字」に落とし込み、「証拠」にすることで、人を納得させる。
「人気がありそう」「あんまり売れていない」など曖昧な感覚で問題を先送りにしていることは結構多いと思います。ですが、実際に数字にして出してみると思っている感覚と乖離している場合があります。
数字はウソをつきません。数字という証拠を手に入れて自分を含めた人を納得できるよう意識する必要があります。
数字こそが、一年目の武器になる。おかしいと思ったら、事実を集めて数字にする
社会人1年目の新人だけでなく、ベテランになっても数字は武器になります。
クライアントや先輩、上司の話に納得できなければ数字を集めてみるのもいいと思います。その結果、自分が間違っていたら納得して仕事ができると思います。
世界共通言語は、英語ではなく、論理(ロジック)と数字。論理があれば、議論はできる
この本では日本以外の国の方とのケースステディとして紹介されていましたが、いろいろな国の人と話し合うと文化の違いなどで日本の常識だけでは伝わらないことも多くあります。
ですが数字と論理(ロジック)だけは世界共通です。
相手の文化などを理解できていなくても数字と論理を話し合えれば議論はできます。
上司の期待値を超える
「ビジネスというのは、突き詰めると、相手の期待を、常に超え続けていくことにほからならい。顧客や消費者の期待を超え続けていくこと。上司の期待を超え続けていくこと」
クライアントにしても上司にしても依頼をしてくる内容をやるのは最低限の基準です。相手の期待値を超えることで次も任せたい、次もお願いしたいということになります。
そのため相手の期待値がどのくらいなのかを把握する必要があります。
この本を読むことで相手の期待値を探る方法や期待値が高すぎる場合の対処法なども学ぶことができます。
部下が上司から仕事を受けるときに確認すべきポイントは、次の4つです
- その仕事の背景や目的
- 具体的な仕事の成果イメージ
- クオリティ
- 優先順位・緊急度
「考え方を考える」という考え方
いきなり作業に入るのではなく、どのように進めたら求めている答えに行き着くことができるのかという「アプローチ」「考え方」「段取り」の部分を最初に考える
日本通運では「段取り8分」という精神があります。段取りがしっかりできていたら仕事の8割は完了するという考えです。
仕事を請け負ったらすぐに作業に入るのではなく、どのように作業を進めていくか、どんな問題が起きる可能性があるのかなどを考えることが大切です。
まずは考えることを意識して行動をする習慣を身につける必要があります。
ロジックツリーを使いこなす
ロジックツリーが役立つ4つの理由
- 一生使える
- 全体が俯瞰できるようになる
- 捨てる能力が身につく
- 意思決定のスピードが上がる
ロジックツリーの使い方などを学校でしっかりと教えてほしかったと思えるほど問題解決に使える基本的なスキルです。
この本を読んで、ロジックツリーのトレーニング方法などを学び、ロジックツリーを使いこなせるように頑張りましょう。
ロジックツリーによる問題解決の基本
- 論点を整理・分解する
- 各論点について数値分解をする
- 項目の重みづけをする
- アクションに落とし込む
文書作成の基本、議事録書きをマスターする
議事録で必ず盛り込むべき項目を挙げましょう
- 日時
- 場所
- 参加者
- 本日のアジェンダ(論点・議題)
以上は当たり前ですね。重要なのは、次の4つです
- 決まったこと
- 決まらなかったこと(次に持ち越したこと)
- 確認が必要なこと
- 次回に向けてのTODO(誰にいつまでに)
この4つが、簡潔に、クリアーに、整理されて書かれていたら完璧です
議事録の書き方も社会に出てから学ぶことがほとんどだと思います。
この本を読んで基本的な議事録の書き方をマスターしましょう。
ヴァリューを出す
他人に対する貢献ができ、相手がそこに価値を感じてくれたとき、その仕事にはヴァリューが生まれる
自分がやりたいことではなく、相手が求めていることをする
仕事である以上、相手が満足してくれないと価値が生まれません。
自分のやりたいことが正しい場合でも、相手が納得できていない場合はヴァリューが発生しません。納得してもらうためには数字や論理を使用して相手に説明することも大切です。
相手が求めていることをしっかりと理解して、価値を与えることが大切です。
社会人は「消費者」ではなく、「生産者」。いかに会社に貢献するかと、その先の顧客の満足を考える
仕事をすることは何かを生産すること。クライアントに合わせて、満足してもらえるように考え、働くことが大切。
フォロワーアップを発揮する
リーダーの提案を汲んで、リーダーがほしいと思っていること、リーダーが必要としていることを考えて、自主的に動く
リーダーという仕事は実は意外と孤独です。その孤独という環境の中で一緒に考えて、動いてくれる人がいれば心強いものです。
リーダーをサポートする仕事はベテランだけでなく1年目の新入社員でもできる仕事です。
プロフェッショナルのチームワーク
チームワークとは、それぞれにしかできない役割をそれぞれが担って、チーム全体の勝利に向かって走ることです。
プロのチームワークは同じ目標に向かってそれぞれが別のことをすること。野球のチームにしても同じ役割の人が2人いても仕方がありません。キャッチャーが得意な選手が1人試合に出ていたら、それ以外のキャッチャーは不要です。
大石哲之氏
1975年生まれ。慶応大学環境情報学部卒業後、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に勤務。戦略部門のコンサルタントとして、事業戦略の立案、M&A、業務改革プロジェクトなどに従事。
その後、インターネットスタートアップ、コンサルティング、エグゼクティブサーチファームの創業・パートナーなどを経て、現在は海外に拠点を移し、投資家としてプライベートな活動を行っている。
著書に「コンサルタント1年目が学ぶこと」(ディスカヴァー)、「3分でわかるロジカルシンキングの基本」(日本実業出版社)、「過去問で鍛える地頭力」(東洋経済新報社)など20冊以上。
最後に
「コンサル一年目が学ぶこと」は1年目の新入社員だけでなく、ベテランから社会に出る前の学生まですべての人に読んでもらいたい本です。
この本の内容を分かりやすく図解化した「図解 コンサル一年目が学ぶこと」もあります。