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「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」AI技術の本当の実力。教科書を読めない子どもたちとは一体?一度は読んでおきたい現実が分かる1冊

2022.9.7

AI技術の本当の実力。教科書を読めない子どもたちとは一体?一度は読んでおきたい現実が分かる1冊

この本の著者は人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトディレクタを務める新井紀子さん。

日本の人工知能の第一線で活躍している新井紀子さんが丁寧にAIと呼ばれているAI技術の実力や仕組みを解説してくれています。

そして、この本で問題提起されているのは「教科書が読めない子どもたち」と書かれているが、実際は子どもだけでなく大人も含む多くの日本人です。

教科書に書かれた問題の意味がわからない子どもたちはAIに取って代わられる存在になるという恐怖のシナリオが描かれています。

こんな人にオススメ

  • AIについて知りたい方
  • AIに仕事を奪われると不安な方
  • AIがシンギュラリティを起こすと心配な方
  • 今の日本の問題点について知りたい方
オススメ度★★★★☆
ページ数243ページ
読書時間2時間~3時間

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

この本を読むことでAIと呼ばれているものが人間の脳に相当するものではなく、人間の脳のようなAIを開発するための技術の1つでしかないことが説明されています。

つまり、この本が出版された2019年時点ではターミネーターのようなロボットが人間を支配するような未来は起こらないことが書かれています。

そして、AIで仕事を奪われる職業や奪われない職業の説明などが書かれていますが、それよりも何よりも一番驚くのは子どもたちの読解力の問題です。

教科書に書かれている問題の意味がわからない子どもが5割も存在しているのです。調査した対象が学生というだけで大人の読解力も怪しいものです。

AI技術の現実と今の日本が抱える子どもたちの読解力の問題、それがわかる1冊です。

特に中高生の子どもを持つ親は読んでほしいです。

AIはまだ存在しない

「AI」という言葉と「AI技術」が混同して使われているからです。AI技術というのは、AIを実現するために開発されているさまざまな技術です。

AIが人間の脳と同じような働きをするものを指すのならAIはまだ存在していないとのことです。

現在、AIと呼ばれているものはAIを開発するための技術の一つですが、この技術の先にAIがあるわけではありません。なぜなら人間の脳がどのような働きをしているのかはまだ判明していないからです。判明していないものをコンピューターで再現するのは現実的に難しいことです。

AIがまだ開発できていないということはターミーネーターや仮面ライダーゼロワンに登場するようなヒューマギアもまだしばらくは登場することはなさそうです。

そして人工知能が人間を超えるシンギュラリティもまだまだ未来の話のようです。

10~20年後になくなる職業

AI技術が得意なのはビッグデータによる機械学習です。

銀行のローン審査の与信のように過去からの莫大なビッグデータを参考に「OK」「NG」の判断をするだけのことなら人間よりもAI技術のほうが優れています。

将棋や囲碁でもプロ棋士にコンピューターが勝ったという話が出てきていますが、一定のルールを定め、膨大なビッグデータを参照に最良の一手を指すことは人間よりもコンピューターの方が優れているのかもしれません。プロ棋士が勝てないのなら一般人が勝つことは非常に困難でしょうから優れているといっていいと思います。

いまのAI技術が進化を続ければ職を失う人が出てくるのは仕方ないことだと思います。

すでに駅の改札や高速道路の料金所からは人がいなくなりました。工場でも単純作業はロボットの方がコストが優れているため人が仕事を奪われています。

10~20年後になくなる職業25
1電話販売員(テレマーケター)
2不動産登記の審査・調査
3手縫いの仕立て屋
4コンピューターを使ったデータの収集・加工・分析
5保険業者
6時計修理工
7貨物取扱人
8税務申告代行者
9フィルム写真の現像技術者
10銀行の新規口座開設担当者
11図書館司書の補助員
12データ入力作業員
13時計の組立・調整工
14保険金請求・保険契約代行者
15証券会社の一般事務員
16受注係
17(住宅・教育・自動車ローンなど)融資担当者
18自動車保険鑑定人
19スポーツの審判員
20銀行の窓口係
21金属・木材・ゴムのエッチング・彫刻業者
22包装機・充填機のオペレーター
23調達係(購入アシスタント)
24荷物の発送・受け取り係
25金属・プラスチック加工用フライス盤・平削り盤のオペレーター
(出典)松尾豊「人工知能は人間を超えるか」(角川EPUB選書)

AIに代替されやすい仕事

仕事がマニュアル化しやすい、つまり決められたルールに従って作業すればよいという点で共通点があり、AIによって代替されやすいと判断したのでしょう。

スポーツの審判員は人間がやるよりAIに任せたほうが公平なジャッジが下せるような気がします。いまの技術だとカメラの台数さえ増やせば360度から選手の動きなどもチェックできます。人よりも早く判定が出せるようになれば審判員は必要ないと思います。

AIに仕事を奪われる

アメリカで起きると予測されることは日本でも同じように起きると予測されます。つまり、日本でも、近い将来、働く人々の約半数が、少なくとも今の仕事を失ってしまう危機に晒されているというです。

日本は終身雇用だからアメリカのように仕事をすぐに失うことはないと安心していてはダメです。残念ながら日本の終身雇用なんてほぼ終わりかけています。

この本にも書かれていますが経営者はコストを安くできるのならAIを利用したいと考えます。人間を雇うことでコストが上がり、競争力が落ちるリスクを考慮すればAIを利用する方が会社の利益につながります。

AIと人間の違い

私たちにとっては、「中学生が身につけている程度の常識」であっても、それは莫大な量の常識であり、それをAIやロボットに教えることは、とてつもなく難しいことなのです。

AIには常識は通じません。だから自動運転の技術が難しいのです。

この本では冷蔵庫から缶ジュースを取り出すこともロボットにとっては難しいことと書かれています。

冷蔵庫から缶ジュースを取り出すことが難しいと思いますが、まず冷蔵庫が台所にあるという常識がロボットにはありません。

冷蔵庫の冷蔵室に缶ジュースが入っているという常識もないので冷凍室を探すかもしれません。

缶ジュースが分からずにトマト缶を運んでくるかもしれません。人間が簡単と思っている常識はロボットにとってはインプットされない限り未知の世界なんです。

AIは技術

AIは電子レンジがそうであるのと同じように、技術です。すべての技術には可能性と限界があります。過去のイノベーションを見れば一目瞭然です。
AIも例外ではありません。

AIは自分で判断して行動しているようなイメージがありますが、今のAIは一つの技術です。

写真を見てトマトを認識する技術や車を安全に走行させるための技術。

それ以上でもそれ以下でもなく、今のAIの優れている部分、苦手な部分を把握することは大切です。

AIに代替されにくい仕事

今のAIに代替されにくい職業は素早い判断と応用力が必要な仕事です。

10~20年後まで残る職業25
1レクリエーション療法士
2整備・設置・修理の第一線監督者
3危機管理責任者
4メンタルヘルス・薬物関連ソーシャルワーカー
5聴覚訓練士
6作業療法士
7歯科矯正士・義歯技工士
8医療ソーシャルワーカー
9口腔外科医
10消防・防災の第一線監督者
11栄養士
12宿泊施設の支配人
13振付師
14セールスエンジニア
15内科医・外科医
16教育コーディネーター
17心理学者
18警察・刑事の第一線監督者
19歯科医
20小学校教師(特別支援教育を除く)
21医学者(疫学者を除く)
22小中学校の教育管理者
23足病医
24臨床心理士・カウンセラー・スクールカウンセラー
25メンタルヘルスカウンセラー
(出典)松尾豊「人工知能は人間を超えるか」(角川EPUB選書)

AIの弱点は、万個数えられてようやく一を学ぶこと、応用が利かないこと、柔軟性がないこと、決められた(限定された)フレーム(枠組み)の中でしか計算処理ができないことなどです。ですから、その反対の、一を聞いて十を知る能力や応用力、柔軟性、フレームに囚われない発想力などを備えていれば、AI恐るるに足らず、ということになります。

人間は1枚の写真を見るだけでバナナが写っていると判断できますが、今のAIは何万枚、何十万枚のバナナが写っている写真を見せて、バナナを覚えてもらうことで写真の中から1つのバナナを判別できるようになります。

一度、覚えてしまうと判別するのは人間よりも圧倒的に速いですが、覚えるまでの手間が人間とは比べ物になりません。

AIの苦手な部分をカバーできる仕事をすることでAIに仕事を取って代わられる心配は少なくなります。

新井紀子氏

国立情報学研究所教授、同社会共有知研究センター長。

一般社団法人「教育のための科学研究所」代表理事・所長。

東京都出身。一橋大学法学部およびイリノイ大学数学科卒業、イリノイ大学5年一貫制大学院数学研究科単位取得退学(ABD)。東京工業大学より博士(理学)を取得。専門は数理論理学。

2011年より人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトディレクタを務める。2016年より読解力を診断する「リーディングスキルテスト」の研究開発を主導。

最後に

この本は本当に勉強になる本です。

AIに興味を持っている人はもちろん、子どもを育てている全ての親が読むべき本だと思います。

また子どもの心配だけでなく、大人も自分の読解力を把握するためにも読むべきです。

  • この記事を書いた人

COSSY

40代の会社員。妻と小学生と保育園児の2人の子どもの4人で生活しています。 副業としてブログなどで月10~15万円程を稼ぎ、これまでに累計400万円を稼いできました。 ブログでの副業の仕方、節約の仕方などを発信しています。

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