
「伝わる」は相手が主体。「伝える」は自分が主体。伝えただけでは伝わったかどうかは実際には分かりません。
"伝える"ための技術がこの「バナナの魅力を100文字で伝えてください 誰でも身につく36の伝わる法則」には書かれています。
会話や書き方が少し良い方向に変わるきっかけになる1冊です。
こんな人にオススメ
- 人に何かを伝えるのが苦手な方
- ブログなどを書く方
- 会話がうまくなりたい方
オススメ度 | ★★★★☆ |
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ページ数 | 213ページ |
読書時間 | 1時間~2時間 |
バナナの魅力を100文字で伝えてください 誰でも身につく36の伝わる法則
この本で書かれているのは人に何かを伝えることはとても難しく、そのためには「伝える」技術が必要になるということです。
- 人は、伝えてもらわないとわからない。
- ただ伝えるだけでは伝わりにくい。うまく伝えないと伝わらない。そして、伝え方には技術がある。
- 言葉だけでなく「態度+表情」も伝わるための大きな要素。
この本にはその「伝える」ための技術が例文やクイズなども使用して分かりやすく解説されています。
この本を読むことで話し方やブログやSNSなどの文章の「伝える」力がレベルアップすることが期待できます。
人は、言葉はもちろん、態度も表情も含めて「ちゃんと伝えてもらわないとわからない」生き物なんですね。
人は基本的に話をあまり覚えていない
この本によると人は基本的にかなりの情報を忘れてしまうそうです。
人は何かを記憶したとき、
- 20分後には約42%忘れる
- 1時間後には約56%忘れる
- 約9時間後には約64%忘れる
- 1日後には約66%忘れる
- 6日後には約75%忘れる
- 1ヵ月後には約79%忘れる
というエビンハウスの忘却曲線です。
1ヵ月後には8割のことを忘れてしまうから、伝えるためには何度も伝える必要があるということです。
1回説明しただけで伝わらないのは相手が悪いのではなく、人は忘れてしまう生き物だと分かっていれば何度も説明をしなければいけない必要性を理解できます。
また、伝わらないのは自分自身の伝える技術が未熟だと認めることも大切だと思えるようになります。
「伝える質」を向上させる
人は忘れてしまう生き物なので伝える頻度も大切ですが、同じように伝える質の向上も必要です。
- 「伝える不足」→量の問題
- 「伝え方下手」→質の問題
この2つをごちゃまぜにせずに、別々に考えるとわかりやすい思います。
この本では「ゴール設定」「納得感(理解する、腑に落ちる)」「相手ベース」「見える化」「聞く力」「親近感」「信頼感」の順番に伝える方法を案内しています。
ゴール設定で「何のために」伝えるのか目的をはっきりし、相手に納得感を得る。
伝わる技術で大事なのが相手ベースで考えること。
相手が理解し、腑に落ちていないならば、それは伝わったことにはなりません。伝えただけです。
技術的に難しいのが見える化です。落語家がそばをすする仕草をしたときに本物のそばが頭の中に見えてくると思います。これが「伝わる」ということです。相手の頭の中にイメージさせる説明を心がけると相手に伝わるようになります。
「聞く力」は相手の話をとにかくよく聞くこと、「親近感」を得ることで相手に伝わりやすくなります。
親近感とは正反対の「嫌悪感」を抱かれている場合、間違ったことを言っていなくても内容を認めたくない感情が働くため、親近感を得ることは伝わるためにも必要なことです。
【親近感をわかすコツ】
- コツ1 共通点を見つける
- コツ2 相手に興味を示す
- コツ3 自分のダメをさらけだす
- コツ4 笑顔
「信頼感」は権威に類似しているかもしれませんが、相手にとってこの人の話は信じられると思えることです。自分自身に対しての信頼感が少なくても、著名な方の言葉を借りるなどすることで信頼感は得ることができます。
この本では順序よく著者の実体験なども含めながら案内させれているのスゴく読みやすく勉強になります。
「伝わる技術」
この本では「伝わる技術」として「比較の法則」「フリオチの法則」「ファクトとメンタルの法則」「脳内チューニングの法則」「言いかえの法則」「たとえの法則」「ネーミングの法則」「間の法則」「数字の法則」「読点の法則」「外部力の法則」「相手メリットの法則」「3つのグリッドの法則」「文脈の法則」「結論の伝え方」「本能の言語化」という16種類の技術を紹介しています。
16種類の技術が全て納得の伝え方で、実践することで「伝える」ことができるようになれると感じることができます。
まずは読んでもらいたい1冊です。
伝わるための法則・原理
- ザイアンスの法則
- 人やモノ、サービスなどに何度も触れることで警戒心が薄くなり、関心や好意を持ちやすくなる心理的効果
- 返報性の原理
- 恩を受けたら返したくなるという「お返しの法則」
- 比較の法則
- 魅力や価値は比較することで明確になります。「比較」することで違いが見える化し、魅力が浮き彫りになってきます
- フリオチの法則
- 伝え方のフリとオチは「振れ幅を大きくして、より価値を見える化する」ための手法
- 例:学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話
- ファクトとメンタルの法則
- 「ファクト(事象・事実)」と「メンタル(感情)」の両方をうまく活用することで伝える力が上がる
- 例:「うまい、やすい、はやい」
- 例:「お、値段以上。」
- 脳内チューニングの法則
- お互いの脳の中にあるゴールとイメージを共有する作業
- 言いかえの法則
- どういう言葉をのせるかで伝わる価値はまったく変わってくる
- 例:形が悪い野菜「訳あり野菜」
- たとえの法則
- 抽象的な話をしたあとに、具体的な「たとえ」を入れることで、抽象的な話の意味が伝わりやすくなります。
- 例:〇〇界のユニクロ
- 間の法則
- 「間」には、相手が覚える、考える、理解する時間を作る役割があります。
- 例:「沖縄旅行」「沖縄『地グルメ』旅行」
- 数字の法則
- 具体的な数字を出すことで驚きの事実を見える化
- 例:人は話し方が9割
- 例:フラン人は10着しか服を持たない
- 読点の法則
- 「、」が入るだけで思いを強く感じる
- 例:春よ、来い
- 外部力の法則
- 自分の言葉に自信がないときは「外部力」を借りる
- 例:コンクールで金賞を受賞
- 相手メリットの法則
- 相手のことを考えるだけでなく、もう一歩踏み込んで、相手が「得した!」「よかった!」「嬉しい!」と思えるように伝えていくことが「相手メリット」
- 3つのグリッドの法則
- 人の興味・関心が高まる3要素、それが「自分グッド」「あなたグッド」「社会グッド」です
- 近江商人の「三方よし」の考え方。「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」
- 文脈の法則
- 文脈とは前後の関係、背景などから導き出される流れのようなものです。この流れを無視すると、言葉の意味が正反対になったり、意味がわからなくなったりします。
- 結論の伝え方
- 説明がうまい人は結論から話す
- 相手の原因や背景などをわからない段階で、いきなり結論を伝えることにリスクがある場合には「結論を後に」
- 本能の言語化
- みんなの中にある「本能」を言葉にする
- 発見した本能を言語化するときに使えるのがかけあわせ法やずらす法 、まとめる法などの「考える技術」
技術名 | 説明 |
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かけあわせ法 | 出会ったことがない言葉と言葉をかけあわせる方法 かけあわすことで新しい価値を生み出す。商品開発からブランディングまで幅広く使える。 |
数珠つなぎ連想法 | 出会ったものがあるもの、イメージできるものをつなげていく方法。 既存のものに新しい能力、価値を発見したいときに使える。 |
ずらす法 | 今ある価値を横にずらし、新しい価値を生み出す方法。 魅力をずらす、市場をずらす、届ける先をずらすなど。商品やサービスが売れなくなってきたときにも使える。 |
脱2法 | 2つの課題を一度に解決するための思考法。 選択を迫られたとき、orではなくandをベースに思考する。 |
まとめる法 | バラバラに存在しているものをひとまとめにして、価値づける思考法。 新たな魅力を生み出したいときに使える。 |
あったらいいな | ドラえもんのひみつ道具に頼るのび太くんになったつもりで考える方法。 まったく新しい価値観を生み出すための思考法。 |
360度分解法 | テーマを全方位から因数分解し、構成要素を見つけていく方法。 構造を理解できる。 |
ポジティブ価値化 | マイナスイメージのものをポジティブなものに置き換える方法。 弱点の根源をつかんで解決法をみつけることができる。 |
すごろく法 | すごろくを作ってゴールから逆算思考で考える方法。 ゴールへの最短距離を見つけたいときに使える。 |
正体探し | 人の心の中にある「見えない心理」を見つけ出す方法。 無意識の正体がわかることで、解決法を見出していく。 |
柿内尚文氏
著者の柿内尚文氏はぶんか社、 アスキーなどで長年、雑誌や書籍の編集に携わった方で、これまで企画した本やムックの累計発行部数は1,000万部を超え、10万部を超えるベストセラーも50冊以上あります。
2020年6月に初の著書「パン屋ではおにぎりを売れ 想像以上の答えが見つかる思考法」を発行し、ベストセラーになっています。
今回、紹介する「バナナの魅力を100文字で伝えてください 誰でも身につく36の伝わる法則」は柿内尚文氏の2冊目の著書。
現在は本の編集だけでなく、企業のクリエイティブコンサルティングや事業構築のサポート、講演やセミナーの講師など多岐にわたり活動中。
尚文(たかふみ)という名前をつけたのは国語の先生だった祖母で「文を尊ぶ人になってほしい」という思いを込められたそうです。
最後に
私自身、「伝える」ことは非常に苦手です。苦手だからこそこの本を読んでみたいと思い、そして読んだ後は自分に足りないものがわかった気がします。
1回読んだだけで全てを理解して実践できるわけではありませんが、機会を見つけて何度も読み返したい1冊です。
そして少しずつ「伝わる技術」を向上させて、自然にこの技術を使えるようになりたいと思います。
ページ数もそれほど多くないので気軽な気持ちで一度読んでもらいたいと思います。
アマゾンのプライム会員でしたら無料で読むことができますのでオススメの1冊です。